第8回「谷口むつみ-後編-」



毎度どうも。私パノラマファミリーという名義で音楽をつくったりラップしたりしているゴメスと申します。この妙なコラムもやっと8回目。前回のまくらでは「寿司ネタ イカ至上主義」の話をしましたが8回目の「8」という数字を見るといつも思い出すことがあります。そう、タコです。あ、タコの足は8本、イカの足は10本って良く言うけど、これって本当なんですかね? 実際に数えたことがないので実は全然デマだったりしたら面白いですね。実は「イカは8本、タコは10本」なんて。あと、これを言うとバカにされることを承知で敢えて言いますけど、地震のニュースで良く出てくる「プレート」。あれってホントに存在するんですか? みんな実物見たことあるのかな? 月面着陸も嘘だって説もあるし、やっぱり自分で見てないものってなかなか信じにくいです。映画「カプリコン・1」という作品でもこういうのテーマになってますね。(観てない人は必見の映画!)ま、女の子のプリクラ写真と実物の違いみたいなもんです。

ということで第8回目参ります!

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適当に思い付いた名前を見て、オレが勝手にどんな人生を送ってきたか、プロファイリング、つまり分析するコラム、「Don’t Stop In The Name Of Love 」スタート。

第7,8回目の名前は「谷口むつみ」です。
(※あくまで仮想の名前なので偶然の一致は悪しからず。)

では今回は7回のつづきからスタート!

本を買わずに家に帰ったむつみは読む本がないので、お調子者に勧めた宮本 輝の「螢川」を読み直すことにした。しばらくしてはっとした。まったくページが進んでいない。頭の中はお調子者がこの本を読んでどんな感想を言うのかということで一杯だと気づいた。7歳の誕生日に買ってもらったお気に入りの目覚まし時計の針は24時を指していた。全く眠くない。さて、どうしよう。ホットミルクを飲むことにした。いつかTVで寝れないときはホットミルクが良いとやっていたのを思い出したのだ。両親を起こさないように静かに真っ暗なキッチンへ向かう。冷蔵庫の灯りが眩しくて一瞬目を細め、冷蔵庫のドアのところの牛乳を取り出す。水切りカゴから無造作にマグカップを取り出し、そこに牛乳を入れる。電子レンジのターンテーブルに載せ、牛乳と書かれたボタンを押す。牛乳が温まるまでの間、またお調子者のことを思い出す。「これは恋ではない」そう言い聞かせる。でもひょっとしたら友達にはなれるかもしれない。本の友達。本の友達なんて結構良い響きだな。「ピー」レンジからマグカップを取り出す。それをリビングでゆっくりと飲んだ。甘い。いつも思うけど温める前は紛れもなく牛乳なのに温まると急に「ミルク」になったような気がする。どーでもいいか。飲み終わるとマグカップに水道の水を入れて洗いやすくしてシンクに置いて、ベッドへ向かった。すると自己暗示的なものなのか、自分でも本当にビックリするほどすぐに眠りについた。

次の日の学校。何も変化はない。お調子者はいつもの通りふざけて担任のマネをしている。高慢な女はその会話に合わせて引くくらい笑っている。「お前笑ってブタ鼻になってるし!」とか。どうでもいい会話が空を舞っている。全くいつものまま。何も変わらないいつもの教室。放課後、掃除を終え、帰ろうとすると肩を叩かれた。振り返るとお調子者が、いた。「あのさ、……あの本、すげー面白かった! 良かったら他のオススメの本も教えてくれないかな」恥ずかしそうに顔を赤くして視線をそらして頭をうっとうしそうに掻いていた。むつみは「いいけど」とぶっきらぼうに答えた。「じゃあ、帰りにあの本屋に一緒にいこうぜ!」「いいけど」今度はちょっとだけ素直に答えた。

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会議の時間は迫っていた。この企画会議で次の雑誌の特集を任されたのだ。遅めの昼休み、むつみは会社の近くのヴェローチェでアメリカンを飲みながら午後の会議に備えてアイディアをひねっていた。会議が始まった。長い間、皆で色々検討したが、考えていった企画は採用にはならなかった。無難な去年と同じ特集に決定した。会議室をでて、自分のデスクで一息つくと、後ろの席の同期がホットミルクを飲んでいた。むつみはそれを見て「良いの飲んでるね」と言うと、同期の男は「今日はもう上がって早く寝るから会社でこれ飲んでから帰んだよね。知ってる? ホットミルクって安眠効果があるんだぜ」むつみは中学の頃を思い出して、「知ってる」と答えた。

結論
「谷口むつみ」
甘酢っぱい青春はたまに思い出して愛でたりするもんなの、大人は!

以上!